こんにちは。コロ助(@korosuke1ban)です。

今回は司法書士試験択一に過去問集は必要かという話です。

 

さとしくん
過去問集は必要に決まってるじゃないか!

そういう声が聞こえてきそうです。

たしかに合格体験記には「過去問集を10周回して合格した!」という人もいますし、「過去問の大切さ」を強調されている人もたくさんいます。

受かるために過去問を何回も解くのはこの試験の常識かもしれません。

 

しかし、(オートマテキストを使う場合は)

司法書士試験択一に過去問集は必要ない!

というのがぼくの結論です。

 

実際にぼくは過去問集を使わずにオートマテキストと出るトコだけで司法書士試験に2度目で合格しました。

  • 午前択一:32問(基準点25問)
  • 午後択一:29問(基準点24問)
  • 記述式 :44.5点(基準点34点)
  • 合計  :227.5点(合格点207点)

平成29年度司法書士試験の成績通知

 

それに、ぼくの方法を真似て過去問集をやらずに8ヶ月で合格された行政書士の方もいます。

 

 

そこで今回は過去問集をやらずに「午前32・午後29」を取って合格したぼくが「司法書士試験の択一に過去問集が不要な理由」を今日は掘り下げていきます。

ぼくの経験(オートマテキストの過去問だけ)

ぼくの経験(オートマテキストの過去問だけ)

以前ブログにも書きましたが、ぼくは過去問集を買ったものの結局手が回らず、ひとつも触れることができませんでした。

参考記事:折り返し地点に来ました。

しかし、それでも択一は基準点に36点上乗せして合格しました。

解いた過去問は、オートマテキストに載っている問題だけです。

 

どうしてここまで少ない過去問で足りたかというと、アウトプットをテキストメインですることで知識の精度を高めていたからです。

択一の勉強法については下記記事をご参照ください。

>>【司法書士試験独学】コロ助がとった択一の勉強法はこれです。【テキスト中心】

 

といっても、それでもオートマテキストに載っている過去問は解きました。

その理由はこの2つです。

  1. オートマテキストにはない知識の習得
  2. 本試験形式の問題を解く練習

オートマテキストにはない知識の習得

アウトプットをテキストメインでやっていたとはいえ、テキストに載っていないものは過去問を解いて習得するしかありません。

なので、過去問を解きました。

本試験形式の問題を解く練習

本試験形式の問題(つまり、過去問)を解くことで頭の知識を本番でどう使うかの練習になります。

とはいえ、頭の知識をうまく使う練習の優先度は、頭の知識を精度を高めることに劣ります。

頭に知識がないと、その知識を使うことは不可能だからです。

 

ぼくの場合は知識の精度を高めることでいっぱいいっぱいでした。

それもあり、ぼくはオートマテキストに載っているもの以上の過去問をやるために過去問集をやる余裕はありませんでした。

 

ちなみに、知識の精度を高めるのに重要なのはアウトプットです。

アウトプットのほうがインプットより倍効果的とも言われています。

 

そして、アウトプットの素材として一番良いのは過去問ではありません。

(ここがかなり常識外れだと思います。)

後述する通り、アウトプットの素材に最も適しているのはテキストです。

だからテキストでひたすらアウトプットすることで知識の精度を高めていたので、過去問集は必要ありませんでした。

本試験でどんな知識がどんなふうに問われるかを知る

以上の通り、に「ぼくが過去問集は使わずにオートマテキストにある過去問を解いた」のは

  1. オートマテキストにはない知識の習得
  2. 本試験形式の問題を解く練習

という理由からでした。

 

あと、司法書士受験時は考えていませんでしたが、オートマテキストにある過去問を解くことで

「どの知識がどんなふうに問われるか」

を無意識に判別していたのもあると思います。

 

オートマはメリハリがないテキストなので初学者のうちはどこが覚えるポイントなのかわかりません。

その覚えるポイントを過去問やでるトコで判別していたのだと思います。

司法書士試験はテキストこそ至高

ぼくが過去問集を使わずにうまくいった経験以外に、「過去問集が必要ない」と思う理由としてテキストの存在があります。

テキストは本当に素晴らしい教材です。

司法書士試験で出題されることは条文・判例

そもそも本試験で出題される知識は条文と判例が元になっています。

その条文・判例が手を変え品を変え、毎年出題されているわけです。

つまり、条文・判例の知識がしっかり身についていれば本試験で合格できます。

司法書士試験の過去問をやるのは大変

「過去に出題された条文・判例は再び出題されるだろうから過去問をやる。」

という考えはまっとうです。

 

ただ、過去問をやるといっても平成以降の問題を解くだけでも30年分以上もあります。

1周させることを考えるだけでも目が回るし、何周も回すと一体いくら時間がかかるのか・・・。

ぼくにはとても無理だし、多くの人にとっても大変でしょう。

テキストには条文・判例がまとまっているいるから効率的

過去問をやるのは大変。

そこで、テキストです。

 

過去問と同じようにテキストはみんなが持ってますよね。

過去問をやる人も、まずはテキストから入るのではないでしょうか。

 

そんなみんなが持っているテキストは、過去問を分析して作られているものです。

過去問に出題された条文・判例を体系的にまとめたものがテキストだといえます。

 

過去問だったら論点の重複があり(たとえば〇年で解いた論点が△年で出る。)、同じところを解く分時間がかかる上、記憶の整理に支障が出ます。

それに対してテキストは、誰かが苦労してまとめているだけあって実にムダがありません。

なので速く回せるし、頭がごちゃごちゃせず記憶の整理もしやすいです。

そうであれば、過去問を一つひとつ解いていくのではなく、せっかく誰かがまとめてくれたテキストを完璧に近づけたほうが合格するのに手っ取り早いです。

抽象的に理解することで未知の問題から答えを出す力がつく

過去問の知識は繰り返し出題されますが、同じ形で出題されるのはまれです。

なので、同じ知識を問われていても出題の仕方が違えば、答えられないこともあります。

そのため、過去問を完璧に解けるようになったからといって、同じ知識の問題が本試験でも解けるとは限りません。

 

テキストの場合、書いてあることは過去問と比べると抽象的です。

その抽象的なことを理解・記憶することであらゆる問題に対応できる力がつきます。

これまで出題されたことのない問題に対処できる応用力を身につけられるという点においても、過去問よりテキストのほうが優位性があるといえます。

 

以下のツイート(計4つ)では「知識の抽象化」についてぼくが深堀しています。

松本先生と山田先生の対談動画も非常に有益なので是非どうぞ。

過去問は優先度が低いからテキスト!!

以上、いろいろ言ってきたように

テキスト>>過去問

です。

 

たしかに過去問を解くことでアウトプットになり、知識の精度は高まります。

また、過去問を解けば本番の練習になり、早く問題を解けるようになります。

 

しかし、過去問で知識の定着を図るのは悪手です。

 

過去問は同じ知識でもいろんな角度で問われることがありますが、それらを一つひとつ覚えるとなると頭に入れる知識の量が膨大になります。

それに「似てるけど違う知識」が混在するので、頭の中がごちゃごちゃし、本試験問題を解く際に「記憶の引き出し」から知識を取り出すとき大変です。

また、頭の知識が断片的ゆえに未出の問題の応用も利きにくくなります。

さらに過去問はどうしても網羅性に穴があるので、本試験では過去問だけでは対応できないものが相当数出てきます。

 

一方でテキストなら抽象的な知識を一つ抑えればOKです。

そのため、記憶の負担は小さいし、未出の問題でも応用が利きやすいです。

また、テキストは情報が体系的にまとまっているので理解しやすく、頭も整理され知識を取り出すのもスムーズになります。

そのうえ、テキストは過去問より網羅的です。

 

  • テキストのほうが記憶の負担が小さいし、知識を取り出すのがスムーズ
  • テキストで抽象的な知識を得ていれば、応用が利きやすい
  • テキストのほうが網羅的

この理由から知識の精度をつけるためには過去問学習よりテキスト学習が圧勝します。

 

 

また、司法書士試験は時間が限られているし問題文もやや難しいです。

なので、「問題を見て論点を見極め、頭の知識から素早く答えを出す力(実戦力)」も必要になります。

そのため、後述する通り過去問を通して実戦力を鍛えることも大事です。

 

ただ、実戦力を鍛える以上に知識の精度をガチガチに固めるのが先です。

知識が固まっていないと「頭の知識から素早く答えを出す」という段階にないからです。

そして司法書士試験の膨大な範囲の知識をガチガチにするだけでめちゃくちゃ大変なので、多くの受験生は「実戦力を鍛える練習」をする余裕はありません。

 

しかも、択一は記述と比べて問題文が短いので、事案(何が問われているのか)を把握するのは難しくありません。

なので、直前期に模試や年度別過去問を解けば実戦力を鍛える本番の練習は基本的に間に合います。

(ただ、まったく過去問を解かないのは良くないのでオートマテキストに載っている分はやるべきです。)

 

「やったほうが良いこと」は無数にあります。

しかし、本試験までの時間は限られています。

そのため、優先順位の高いことを徹底的にやるのが短期合格のカギになります。

そして、以上の理由から普段の学習で優先順位が高いのは過去問よりテキストです。

 

ですので、過去問が載っているオートマテキストを使っているなら過去問集は別途必要ありません。

また、その他のテキストを使っていても過去問集をぐるぐる回すのも不要です。

それでも司法書士試験で過去問は大事

それでも司法書士試験で過去問は大事

こんなふうにまずはテキスト優先です。

とはいえ、過去問も大事です。

過去問集の必要性を感じて、実際ぼくは過去問集を買いました。

 

過去問集が必要だと思った理由は主に2つです。

  1. 午後択一を速く解く練習
  2. 苦手な民法の強化

午後択一を速く解く練習

1つ目は午後択一は速く解かないといけないため、問題演習を通して解くスピードを上げたかったことです。

午後は択一と記述を3時間で解かないといけないので、午後択一はスピード勝負です。

>>【司法書士試験】ぼくがとった午後択一の解き方はこれです。

 

そしてぼくは記述が苦手なので50分で午後択一を解くのが目標でした。

50分という短時間で解くにはただ単に正確な知識を有しているだけでなく、「問題を見て論点を見極め、頭の知識から素早く答えを出す力(実戦力)」が必要になります。

ある程度知識の精度をぼくはつけていたので実戦力を過去問を解いて養おうと思ったわけです。

点が伸び悩む民法の強化

過去問集が必要だと思った2つ目の理由は、点が伸び悩む民法を強化したかったことです。

民法はテキストやでるトコでちゃんと理解・記憶しているつもりでも、2016年はなかなか点数に結び付きませんでした。

>>【民法を最強の武器に!】ぼくがとった民法対策はこれです。【司法書士試験独学】

テキストやでるトコだけで点がとれないのであれば、過去問を解くことによって実力をつけようと思った次第です。

 

ちなみに、午後科目や民法だけでなくぼくは商法・会社法、憲法、刑法の過去問も購入しました。

ただ、それらは「ついで買い」です。

「手が回ればやろう」くらいに考えていました。

過去問まとめ

本試験で速く正確に問題を解くことを考えれば、本試験と同じ形式である過去問はアウトプットの貴重なツールです。

そのため、過去問が大事であることはぼくもよく理解しています。

司法書士試験のおすすめ過去問集

司法書士試験のおすすめ過去問集

過去問は貴重なアウトプットのツールです。

とはいえ、前述のとおりすべてやるのはたいへんすぎます。

また、長い解説もためになりますが、基本的にテキストに載っていることなので迂遠です。

 

さとしくん
そんなたくさん解けないし、長い解説もめんどくさい!

そこでおすすめなのが『オートマ過去問』です。

『オートマ過去問』は、「コレだけ!」と山本浩司先生らオートマ実行委員会が集めた必要な問題から構成されています。

肢の重複もないと思われ、記憶に支障をきたしにくいです。

問題数が少ないし、解説もピシッとまとまっているのでガンガン回せます。

オートマテキストを使っている人はもちろん、過去問に費やす時間と労力は最低限に抑えたいという人は是非どうぞ。

 

おすすめ記事過去問以外にもぼくが使用した教材についてまとめてみました。

>>【保存版】司法書士独学でコロ助が使用したテキスト・問題集まとめ

過去問中心の勉強法書籍

過去問中心の勉強法書籍

ぼくはテキストを繰り返して勉強しました。

でも、再三言ってる通り過去問を何回も回して合格する勉強法もあります。

そこで、過去問を使って合格された方の書籍をご紹介します。

7カ月合格法:柴田幸さん

本書は勉強法を模索しているときに『5ケ月合格法』より先に読みました。

内容は過去問至上主義で、素直におもしろかったです。

自分も努力して過去問をやりまくれば合格できそうな気もしましたが、ちょっとまねできないとも思いました。

 

著者の柴田幸さんはLECの司法試験講師である柴田孝之先生の奥さんで、幸さん自身は既に亡くなられてます。

幸さんは自分を極限まで追い込めるような方で、読んでいて圧倒されました。

「もしかしたら司法書士試験で頑張りすぎてしまったのかも・・・」

とすら思うほどです。

 

また、そんな圧倒的な努力家の幸さんも挫折を重ねたうえで合格されたのだと考えると、

「自分が壁にぶつかっても頑張ろう。」

とパワーももらえました。

 

ぼくは過去問中心の勉強法は取りませんでしたが、方法論としては参考になるところもあるので勉強法の試行錯誤を重ねてる人にはおすすめです。

また、努力をしてる著者の姿を今の自分に重ね合わせて「自分も頑張らなきゃ」と思えるので、すべての司法書士受験生にとって読む価値のある一冊です。

まとめ:優先度は過去問よりテキストが上

まとめ:優先度は過去問よりテキストが上

効率を考えれば体系的にまとまったテキストを何回も回したほうがいいし、力も短期間でつきます。

ぼく自身、過去問集に手を出していれば、試験までに記憶の定着が間に合わず、間違いなく落ちていました。

逆に言えば、過去問集をスッパリ切ることができたから合格できたといえます。

 

また、オートマテキストの過去問を解くことで本番の練習になり、実戦力を鍛えることもできたと思っています。

この本番の練習が直前期の模試だけなら、本試験問題が難しく感じたでしょうし、解くスピードも遅くなってたはずです。

ただ、普段の本番の練習はオートマテキストの過去問で十分でした。

 

そういうことなので、

択一の過去問集は時間がある人は解けばいいけど、時間がない人はオートマテキストをやりまくればいい。

オートマテキストを使ってない人も過去問は最小限でいい。

というのが結論です。

 

もちろん過去問をやるのは大事です。

『上位合格』を目指すのであれば、なおさら過去問は重要だと思います。

 

しかし、優先度的には

テキスト>>過去問

です。

なので限られた時間で『合格最低点』をとりたいのであれば、過去問は最低限にとどめてテキストに重点を置いて学習してください(ちなみにぼくは117位だったのでまあまあ上位でした)。

 

※この記事を見た人は以下の記事も見てます。

【司法書士試験独学】最強の択一勉強法はこれです。【テキスト中心】